アドレナリンが踊るダイビング

イソマグロがきれいだ!
大きさは1,5mほど、つがいで寄り添っている。
青い水面と濃い藍色の見えない水底の間を銀色の腹を浮かせ、彼女を口説いているようだ。
強い流れなど、まったく感じさせないどうどうとした泳ぎで目の前を通り過ぎては藍黒の中へ消えてはまた戻ってくる。
その間、3匹のイソマグロ、5匹のイソマグロが代わるがわる藍黒の中をぬぐうように現れ、そしてまた消える。
ここはトカラ列島の中の沈み根、深度24m、強い流れで滅多に入れぬトカラ有数のポイントのひとつ。
今度は1mほどのツムブリが20匹の群れでやってくる。
皆の肩を叩くように回って行く。
見事な魚体だ、形も良い。
逃げることなど考えていないだろう。
さらにお約束のようにテングハグモドキの丸い形が団体でやってきた。
数はおよそ200枚ほどか。
まばらにギンガメアジもチラホラやってくる。

全てが大型だ。
そして元気よく素早く泳ぐ。
黒潮の強い流れ、のんびりなどしてられない。
トカラの魚らしい性格だ。

今ひとつ
足りぬ
GTを見ていない。
ロウニンアジ(GT)が出ていない。
時間も15分を過ぎ、残圧も100を過ぎる頃。
さらに流れの上へと根を這い進む。
根のTOP、流れの先端に出たとき、GTはやってきた。
大きさは1,3m、30kgはありそうだ。
そして、その背後に5匹が連れ添っている。
デカイ!

満足!まんぞく!!
これで言う事は無い!
モルディブのフイッシュヘッドやグラデゥーチャネル、
パラオのブルーコーナー、ランギロアのバースにも劣らない。
いや、それ以上か

20分を過ぎ、残圧も余裕無し。
これ以上いるのは危険。
浮上のサインを出す。
先端を周り、根に添い、ドリフトしながら浮上。
お別れの挨拶にバラクーダが3匹やってくる。
左水面20m先にカツオの群れが銀鱗をキラキラ輝かせ、また来いと言っている。
1ヵ所だけを見てはいられない、首を振る回数が増える。
もうすぐ、Safty Stopの5mだ。
前方下から、こちらに向かって来るものがいる。
茶色い影だ。
何だ?
GTだ!
大きい!!
1.3 ~1.5m、30~40kg ?
5匹?
完全に偵察しに泳ぎ来る。
先頭の1匹は右へ
目と目がぶつかる。
「上等!」と啖呵をきって行く。
残りの数匹?は左と下へ通過!
いや、違う!
10匹!20匹!
その向こうにまだ続く、50だ~!
まだ後がある!
100匹ほどの群れだ!!
どれもデカイ!
その瞬間は、あっと言う間に過ぎて行った。
20秒か?30秒なのか?40秒なのか?
何のために群れている?
そして何処へ行く?
ガリレオのコンピューターが言う、心拍数120超。
大興奮だ!!
頭からフィンの先端まで血が踊っている。

かつて、こんなダイビングをした事は無い。
GTの群れは、子供の時だけ見る事はある。
パラオのペリリューコーナーの先端で子供たちは良く群れている。
こんな大きなGTが数多くの群れは作らない。
5匹程度で狩りをすることはある。

過去、ダイビングで数多くのラッキーな体験をしてきた。
けれど、この海には脱帽だ。
すごい。

今まで、ジンベイザメと一緒に泳いだこともあった。
マンタと踊った事もある。
コククジラがゴロゴロしていた事もあった。
イルカとキスをした事もある。
シャチの親子に会った事もある。
けれど今回がベストである。
人生で2度と無いダイビングだ。

来年もこの興奮を追いかけてトカラへ出かけてしまう。

後述
今年2011年7月にトカラクルーズに出かけた。
その中の1回のダイビングが特に素晴らしかったのでレポートさせて頂きました。
他のダイビングも楽しかったのですがあまりにも凄かった。
トカラ列島、日本に残る世界有数の秘境です。

テーマ : ダイビング
ジャンル : 趣味・実用

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